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【古書】

ブックセンター・キャンパス
つくば市の古書店

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当店について

【古書】ブックセンター・キャンパス / つくば市の古書店

創業60年。

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旧軽井沢にて店舗営業をしたのち、現在つくば市にて店舗営業。


茨城県つくば市吾妻3-10-12

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その他不定休、御来店の際は御連絡下さいませ。

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TEL:029-851-8100
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「児童文学作家いぬいとみこの関係資料」

筑波大学 図書館情報メディア系 講師

大庭一郎

はじめに

 今回は、いぬいとみこの関係資料(自著(和書・洋書)、書簡等)が展示されています。そこで、幾つかの展示資料について、紹介したいと思います。

 いぬいとみこ(本名:乾富子,生没年:1924.3.3-2002.1.16)は、1950(昭和25)年から1970(昭和45)年まで岩波書店に勤務しながら、児童文学の創作活動を続けました。岩波書店では編集者・翻訳家の石井桃子の下で「岩 波少年文庫」の編集に従事し、これらの仕事がいぬいの児童文学作家の基礎を作りました。1957(昭和32)年に 宝文館から出版された『ながいながいペンギンの話』は、新しい幼年文学として評価され、毎日出版文化賞を受賞 しました1)

岩波書店在職中のいぬいの書簡

 岩波少年文庫(1950年12月創刊)の初期の編集事情は、翻訳家の万沢まき宛にいぬいが記した書簡(葉書7枚・手紙1通、1952-1953)を通じて、垣間見ることができます2)。当時、翻訳家の万沢まきは、「フィンランドのアン デルセン」といわれたトペリウスの童話13点をスウェーデン語から日本語に翻訳し、トペリウスの童話集『星のひと み』(1953)をまとめていました3)

 1952(昭和27)9月11日の葉書では、「トペリウスの方が、企画会にとおりましたので、ほっとしました。」と万沢に 伝えています。9月20日の手紙では、「石井さんは、二三日よそへ参りましたので、トペリウスのゲラを、お送りする ようにとのことでした。/「星のひとみ」のはじめの二枚ほど、石井さんがエンピツを入れまして、お清書してみまし たが、原文とはなれてしまったかもしれず、どうか、ごらん下さいと申しております。/そして、もし、よろしければ、 だいたいあのような調子でつづきと、スイレン[注:短編童話名]のほうをおすすめ下さいませ。」と記しています。 10月22日の速達葉書では、「今月いっぱいに、出版部に入れたいと思っております。」と入稿予定が伝えられまし た。翌年2月10日の速達葉書では、「「星のひとみ」がやっと出来あがりましたので、献本十部、お返しするご本と いっしょに、お送りします。」と、刊行のお礼が記されています。

 石井桃子の指示を踏まえながら、いぬいが丁寧に児童書の編集作業を進めていたことを、これらの書簡から知 ることができます。なお、岩波少年文庫の発展は、岩波少年文庫の別冊2点にまとめられています4)

店内展示第13回 
2021年9月15日(水)〜 10月15日(金)
「いぬいとみこ展

いぬいの著作と蔵書印

 いぬいが創作し、福音館書店から刊行された『木かげの家の小人たち』(1967)5)と『くらやみの谷の小人たち』(1972)6)は、イギリス生まれの小人たちと少女の森山ゆり達の戦中戦後の交流を記したファンタジーです。 この2冊の単行本は、吉井忠が挿絵を担当しました。 小人たちを描いた緑色の装丁本(1967)と青色の装丁 本(1972)は、学校図書館や書店の本棚で、独特の存在感を示しました。いぬいの旧蔵書の『木かげの家の 小人たち』には、表紙の見返しに、「乾蔵書」角印と「絵入りのEX LIBRIS」印が押印されています。EX LIBRIS は蔵書票のことですが、「絵入りのEX LIBRIS」印には、いぬいが創作した『北極のムーシカミーシカ』に基づ いて、北極グマのムーシカとミーシカが氷山に座って日の出を見ている情景が、画家の大友康夫によって描 かれました。大友康夫の挿絵は、角川文庫の『北極のムーシカミーシカ』(1975)に掲載されています7)

 いぬいのエッセイ集として晶文社から刊行された『子どもと本をむすぶもの』(1974)は、いぬいの旧蔵書に2 冊ありました8)。その1冊には、表紙のビニール・カバーの下に「保存、訂正、初出入り」の付箋が納められ、表 紙の見返しに「(一九七四年十二月十九日見本)初出と訂正入り、’75 1/2 いぬいとみこ」と記されています が、蔵書印はありません。各エッセイの末尾に、「図書」xx年xx月号、「朝日ジャーナル」xx年xx号、かきおろし、 等が加筆されています。このエッセイ集には、「2 ムーシカ文庫」(p.42-76)に関する文章4点が収録されてい ます。ムーシカ文庫は、1965(昭和40)年4月から1988(昭和63)年3月まで、いぬいとみこが開設した会員制 の子ども文庫のことで、文庫の名称は、『北極のムーシカミーシカ』に登場する北極グマのムーシカとミーシカ に由来します。ムーシカ文庫の活動は、『ムーシカ文庫の伝言板:いぬいとみこの文庫活動の記録』(2004)に まとめられています9)

 いぬいの著作ではありませんが、いぬいの旧蔵書に石井桃子が翻訳した『クマのプーさんと魔法の森』 (1977)がありました10)。この本では、表紙の見返しに「乾蔵書」角印と「絵入りのEX LIBRIS」印、裏表紙の見 返しに「乾蔵書」角印が、それぞれ押印されています。
 

いぬいの旧蔵書の洋書

 児童文学者の神宮輝夫が作成した「いぬいとみこ著作目録」によれば、いぬいの創作は、中国、チェコスロ バキア、ソビエト、フランス、ギリシャで翻訳出版されています11)。いぬいの旧蔵書には、『木かげの家の小人 たち』の翻訳書として、フランス版の『Le secret du verre bleu』(1971)12)とギリシャ版の『Τό γαλάζιο καπέλο』(1974)13)が含まれていました。

 いぬいの旧蔵書の洋書には、イギリスの児童文学作品のロシア語訳もありました。P.L.トラヴァースの『メア リー・ポピンズ』は『Мэри Поппинс』(1968)14)、A.A.ミルンの『クマのプーさん』は『Винни- Пух и все-все-все』(1969)15)として、当時のソビエト連邦で刊行されました。2冊の翻訳書の 挿絵は、イギリスの原書の挿絵ではなく、ソビエト連邦の画家が独自に描きました。日本人の読者になじみの ある岩波書店刊の『メアリー・ポピンズ』と『クマのプーさん』は、イギリスの原書の挿絵が採用されています。そ こで、2冊のロシア語版の挿絵は、日本の読者には新鮮な印象を与えると思います。

 

おわりに

 大学生の頃から、ブックセンター・キャンパスで古書を購入してきました。先日、店主の岡田富朗さんに、壷井栄の『二十四の瞳』の出版状況16)や、石井桃子の『クマのプーさん』関連資料、に関心があることをお話しし たところ、いぬいとみこの関係資料を閲覧する機会を頂きました。今回の店内展示を通じて、いぬいとみこの 関係資料に親しんで頂くと同時に、いぬいの児童文学作品を再読して頂けますと幸いです。

 新刊書や古書の出版流通事情の変化によって、つくば市天久保地区の古書店も少なくなりましたが、ブック センター・キャンパスの発展を期待しております。

注・引用文献(*印は展示資料)
1)中多泰子.“いぬいとみこ”.日本児童文学大事典 第1巻 人名 あ~と.大阪国際児童文学館編.
東京,大日本図書,1993.10,p.75.

2)いぬいとみこ.万沢まき宛の書簡一式(葉書7枚,手紙1通).1952.9-1953.6. *

3)トペリウス作.星のひとみ.万沢まき訳.東京,岩波書店,1953.2,263p.(岩波少年文庫,51)

4)岩波書店編集部編.なつかしい本の記憶:岩波少年文庫の50年.東京,岩波書店,2000.6,233,16p.(岩波少年文庫,別冊);若菜晃子編著.

   岩波少年文庫のあゆみ:1950-2020.東京,岩波書店,2021.3,214,87p.(岩波少年文庫,別冊2)

5)いぬいとみこ作,吉井忠画.木かげの家の小人たち.東京,福音館書店,1967.7,276p.(福音館創作童話シリーズ) *

6)いぬいとみこ作,吉井忠画.くらやみの谷の小人たち.東京,福音館書店,1972.6,403p.(福音館創作童話シリーズ) *

7)いぬいとみこ.北極のムーシカミーシカ.東京,角川書店,1975.12,230p.(角川文庫,3589(C-4))挿絵はp.157に掲載.

8)いぬいとみこ.子どもと本をむすぶもの.東京,晶文社,1974.12,263p. *

9)ムーシカ文庫の仲間たち編.ムーシカ文庫の伝言板:いぬいとみこの文庫活動の記録.川崎,てらいんく,2004.3,400p.

10)ミルン,クリストファー.クマのプーさんと魔法の森.石井桃子訳.東京,岩波書店,1977.12,306p. *

11)神宮輝夫.現代児童文学作家対談 6 いぬいとみこ・神沢利子・松谷みよ子.東京,偕成社,1990.1,433p.「いぬいとみこ著作目録」は,p.101-110に掲載.

12)Inui, Tomiko. Le secret du verre bleu. Nakamura, Noriyasu, trans. [Paris],Fernand Nathan, 1971, 191p. (Bibliothèque international) *

 『木かげの家の小人たち』仏訳.

13)Inoyi, Tomiko. Τό γαλάζιο καπέλο. Ζωρζ, Σαρή, trans.Ἀθήνα, Κέδρος, 1974, 170p. *『木かげの家の小人たち』ギリシャ語訳.

14)Трэверс, Памела Линдон. Мэри Поппинс.Заходер, Борис, trans. Москва, Дет. лит., 1968, 239p.*『メアリー・ポピンズ』露訳.
15)Милн, Алан Александер.
Винни-Пух и все-все-все. Заходер, Борис, trans.Москва, Дет. лит., 1969, 206p. *『クマのプーさん』露訳.

16)大庭一郎,古木茜.『二十四の瞳』の編集と出版.令和元年度第63回日本読書学会大会発表要旨集.2019.7,p.1-10.

一部展示リスト書誌データ

(書簡:一式)

・いぬいとみこ.万沢まき宛の書簡一式(葉書7枚,手紙1通).1952.9-1953.6.

 

(和書:4点)

・いぬいとみこ作,吉井忠画.木かげの家の小人たち.東京,福音館書店,1967.7,276p.(福音館創作童話シリーズ)

・いぬいとみこ作,吉井忠画.くらやみの谷の小人たち.東京,福音館書店,1972.6,403p.(福音館創作童話シリーズ)

・いぬいとみこ.子どもと本をむすぶもの.東京,晶文社,1974.12,263p.

・ミルン,クリストファー.クマのプーさんと魔法の森.石井桃子訳.東京,岩波書店,1977.12,306p.

 

(洋書:4点)

・Трэверс, Памела Линдон. Мэри Поппинс.Заходер, Борис, trans. Москва, Дет. лит., 1968, 239p.*『メアリー・ポピンズ』露訳.

・Милн, Алан Александер.Винни-Пух и все-все-все. Заходер, Борис, trans.Москва, Дет. лит., 1969, 206p. *『クマのプーさん』露訳.

・Inui, Tomiko. Le secret du verre bleu. Nakamura, Noriyasu, trans. [Paris], Fernand Nathan, 1971, 191p. (Bibliothèque international)

 *『木かげの家の小人たち』仏訳.

・Inoyi, Tomiko. Τό γαλάζιο καπέλο. Ζωρζ, Σαρή, trans.Ἀθήνα, Κέδρος, 1974, 170p. *『木かげの家の小人たち』ギリシャ語訳.